遺品整理の資料公開
人々は「もったいない、もったいない」と言いながら、とことん資源を大切にし、廃棄物を自然に返して再利用した。
ここでもう一度、高度成長時代の「戦略10訓」に注目し、すべての項目を消費者の立場から否定してみよう。
なるほど、これこそが「もったいない精神」そのものではないか。
この「もったいない10訓」こそ、日本人が生み出し、日本人が忘れてしまった伝統的な生き方なのだ。
わたしたちはいま、もう一度この「もったいない精神」に科学の光を当て、「戦略10訓」を、「もったいない10訓」に転換する方策を真剣に考える必要がある。
燃料を使うことなく、永久に動きつづける(エネルギーをつくりだす)装置があったら、どんなにすばらしいことか。
その装置が供給するエネルギーを使って、動力、電気などを発生させれば、自動車や電車などの交通機関をはじめ、さまざまな機械を稼働させることができる。
しかも、ただで。
環境問題だって一気に解決するだろう。
この夢のような装置を「永久機関」とよぶ。
永久機関は、いわば「ゴミを出さないエンジン」である。
ぼくばかりでなく、古くから、ゴミと闘っている多くの人がいたようだ。
いくつか永久機関の例を示してみよう。
「オヌクールのかなづち車」中世ヨーロッパで考えられた永久機関のひとつだ。
車の外周に沿って、何本かの棒がついている。
棒の先には、重りのついたかなづちが取りつけてあり、一方向へ倒れるようになっている。
そこで、つりあった位置から車を少し動かすと、頂上のかなづちが倒れ、その勢いで車が回転する。
すると次のかなづちが倒れる……というように、永久に回転がつづく、というわけだ。
同じく中世の永久機関、上の水槽から水を落とし水車を回して粉引き臼を動かす。
また、水車と連動するポンプ(Aの螺むポンプ)で水を上の水槽にくみあげる。
もどってきた水でさらに水車を回せば、運動は永久につづき、臼はいつまでも動きつづける……。
このような設計図はいくつも描かれたが、動くものはひとつもなかった。
人々は、発想は正しいが工夫がたりないと考え、改良をつづけた。
一方、永久機関を、正反対の視点からとらえようとする人もあった。
R・Dは、永久機関が不可能であることを証明する図を描いているといえる。
三角形に数珠が巻きつけてあるが、左斜面には4個の玉が、右斜面には2個の玉がのっているから、左のほうが重い(と考えてしまいそうだ)。
したがって、数珠は左へ回転するはずだ。
「しめた、永久機関ができたぞ」と、早とちりしてはならない。
やってみればわかるが、数珠はまったく動かない。
ステピンは、この事実に注目した。
そして玉が動かないこと(永久機関とはなりえないこと)から、左右の玉がつりあっている、という結論を引きだした。
ところで、てこを使うと、小さな力で非常に重い物体を持ち上げることができる。
紀元前3世紀ころ、古代ギリシャのAは、S王Hの前で、「私に、棒と支点を与えよ。
そうすれば地球を動かしてみせる」と豪語した。
てこを使えばいくらでも力が強くなるとしたら、永久機関に似た効果が得られるような気がする。
自分が押し下げた距離は、物体が押し上げられた距離より長い。
つまり、自分の力は小さくても、押し下げた距離が長いのだ。
このとき、作業の大きさは「力と動いた距離をかけあわせたもの」で表され、これを「仕事」という。
仕事をする能力は、エネルギーで表される(以下では、仕事とエネルギーを区別しないで使うこともある)。
物体は重いが動いた距離は短い。
それに対して、自分の力は小さいが動いた距離。
正確には、自分の力が作用したてこの端の動いた距離は長い。
こうして両者を比べてみると、自分があたえたエネルギーと、その結果、物体が得たエネルギーは等しいことがわかる。
要するに、「仕事」の大きさはどちらも同じ。
力は得することがあっても、エネルギーには損得はないのだ。
これを「エネルギー保存則」という。
エネルギー保存則は、自然界のもっとも普遍的かつ基本的な法則のひとつだ。
外からエネルギーをあたえないで仕事をしつづけるという「永久機関」は、原理的にありえないことになる。
言葉をかえれば、ゴミを出さない機械はつくれないのである。
環境エンジンは「開放システム」だから、それを包みこむ、より大きな環境が必要なのだ。
それもまた環境エンジンとのあいだで、物質やエネルギーのやり取りをする。
同じように、その大きな環境とそのまわりのさらに大きな環境とのあいだにも、エネルギーや物質の出入りがある。
さらに大きな環境は、そのまたさらに大きな環境と……というように、環境はたまねぎ(多重)構造になっていて、エネルギー・物質は、たまねぎの屑を流れていく。
もしこの流れが途切れると、そこに物質・エネルギーが溜まることになり、もはや環境エンジンは開放システムとして機能しなくなる。
それは、エンジンの破壊(たまねぎの死)を意味する。
さて、環境のたまねぎ構造を身近な例で見てみよう。
部屋の中に石油ストーブ(環境エンジン)があったとする。
ストーブには石油が供給され、それが燃えて、熱エネルギー、炭酸ガス、水蒸気などが、まわりの環境に排出される。
ストーブは、その中を物質・エネルギーが流れているから、開放システムである。
石油ストーブのまわりには、部屋という環境がある。
もし部屋の窓が開いていなければ、部屋には、熱エネルギー、炭酸ガス、水蒸気が蓄積し、やがて部屋は熱地獄になるだろう。
幸いなことに、窓が開いていて、ストーブから排出された物質・エネルギーは、大気中に拡散する。
窓から放出された炭酸ガスと水蒸気はちがったふるまいをする。
空気(酸素21%、窒素79%)の密度を1とすると、炭酸ガスの密度は約1.5、水蒸気の密度は約0.5。
したがって、炭酸ガスは大気の底の部分に滞留し、温暖化ガスとして地表から宇宙への熱の放散をくいとめる。
一方、水蒸気は、空気より軽いので数千mの上空まで上昇して、そこで熱を放出し、液体の水(雨)や固体の水(雪)になって地球にもどってくる。
ところで、ストーブから放射された熱エネルギーは、まわりの空気を温めたりしながら宇宙空間に放出される。
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